古くから日本人の暮らしのそばにあった和紙。しかし、気がつけば邸宅から和室が消え、記録は紙からデジタルへと変わりました。
エフスタイルでは愛媛の伝統和紙の世界に新風を起こす二人のクリエイターを訪ねました。
エフスタイルでは愛媛の伝統和紙の世界に新風を起こす二人のクリエイターを訪ねました。
②<世界でひとつ。五十崎ギルディング和紙>
株式会社五十崎社中代表:齋藤宏之さん(喜多郡内子町)
通信系IT企業でのSE等を経て、夫人の故郷内子町でIターン起業。五十崎和紙の魅力はそこから知ることとなったといいます。
五十崎和紙の歴史は350年以上と古く、原料となる楮(こうぞ)や三椏(みつまた)が多く作られたことで紙漉きが発展した町。静かな山々と豊かな川の水が生んだ「手漉き和紙文化」は、地域の誇りとして伝え継がれてきたものでした。ところが、
「現在残っている製造所はわずか2軒だけなんです。」
JAPANブランド登録事業者として地元の伝統工芸に新たな息吹を吹き込むため、フランスよりガボー・ウルヴィツキ氏を招いてギルディング(金箔装飾技術)を学びました。ガボー氏は本国では国宝級のデザイナーで、額縁へのギルディングを紙に応用した世界唯一の技術者。もちろん彼からその技術を直接学んだ齋藤さんもまた、世界唯一。
現在は壁紙の他、葉書や文房具などへも応用し、海外の展示会でも高い評価を得ています。
「和紙を漉くのは熟練の職人。すべて70~80代のマダム達です。寒漉きと言われるように冬が良質な和紙の時期。寒さの中での朝早くからの重労働は大変厳しい環境と言えますが、実は20歳の女性が後継者として弟子入りしました。」
静かな田舎町がふつふつと活性化する音が聞こえてくるような、明るいニュース。消えかけた伝統と言う灯りが、ゆっくりと繋がれていく嬉しい実感でもあります。
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