その1:古民家を探そう!

 (0)  忠政 啓文  2014年02月28日

image

 田舎に暮らし始めて何年になるだろう?松山市久谷町、三坂峠山中にある茅葺屋根の古民家に住み始めたのが24歳の時、そして一昨年からは、美しい里山が広がる久万高原町畑野川地区にある、築150年の古民家に移住して、現在に至っているので、キャリアは14年になるのか。なんとまあ、随分長くなったもんですねぇ…。

 三坂峠も久万高原町も古来「久万山」と呼ばれたエリアですが、きっと、この地域に何かしら魅力があるから、住み続けているのだと思うのだけど、これまで、そんなことを深く考えることもなく暮らしてきたので、折角だからこの連載を機に、ちょっぴり久万山での田舎暮らしの魅力などを考察してみようと思います。


 そもそも、ハタチやそこらで田舎暮らしに興味を持ったなんて、変わったヤツだと思われるかもしれませんが、当時、田舎暮らしを志したのには、ちゃんと理由があります。僕は10~20歳代、競歩という大変マイナーで地味なスポーツに熱中し、一応、日本代表になったりしたのですが、遠征や合宿などで海外へ行くと、どこの国でも、ライバル選手たちは、自国の歴史や文化に強い誇りを持っているし、独特な生活を営んでいるんですね。

 しかし、その反面、我が身を振り返ってみると…彼らのような愛国心だとか、アイデンティティーみたいなものがサラサラなくって、何となく恥ずかしい、そして寂しい気持ちになることが多々あったのです。それがいつしか「自分の日本人らしさってなんなのかな?」と考えるようになり、これはいかん!まずは生活そのものを日本人らしくしよう!!と思い立ち、日本人らしい暮らしを求めて、田舎で暮らすことを決意したわけです。


 そんなわけで、あくまでも「日本人らしさ」の探求のために田舎暮らしを志したので、正直なところ、今どきの田舎暮らしファンが思い描くような理想とか、憧れとか、その手の類のものは特になく、全くフラットな気持ちで生活拠点を探したのですが、所詮、その程度のものですから、最初に暮らすことになった三坂峠山中、松山市久谷地区の家というのも、たまたまその地域に知り合いがいて、「そんなことなら近所に空き家があるわい」と紹介され、家も見ずに「マヂっすか!じゃ、そこに住みます!!」なんてノリで移住を決定したのです。

 そして、家の持ち主を紹介していただき、実際に家を見たら、築100年のトタンをかぶせた茅葺屋根、しかも囲炉裏や五右衛門風呂がある大きな平屋!おお、これぞジャパニーズスタイル!!現代に残っているのが奇跡的なくらいな『庵』風情全開の古民家で、すっかり気に入って契約したのですが、持ち主の爺ちゃんは「若いもんがこんな家でやっていけるかいの?もうちぃと、ように考えてからにせんかな?」と心配するほどの即決ぶり。家さがしを初めて、わずか数日という、古民家マニアが驚くような早さでの移住決定でした。


 しかしまあ、さすがに爺ちゃんが心配しただけあり、古い家は修理が絶えないし、毎日薪で風呂焚かないといけないし…365日がDIYな生活だったのですが、まあ、当時は仕事が暇で、時間だけはたくさんあったので、この、修理しては、どこかが壊れ…を繰り返す、まるでサクラダファミリアを建設するかのごとく、終わりのないDIY暮らしが面倒と感じることもなく、むしろ楽しかったですね。まあ、こういう「なんでも自分でやってみよう!」ってノリが、田舎暮らしを長続きさせる秘訣じゃないのかな?と思います。


 そして、住み始めのころは庵風情全開だった家も、数年経つと大変快適な古民家へと変貌を遂げ、そんな家に嫁を迎え、平穏な生活を送っていたのですが、一昨年、長女が生まれる前に、ふと「三坂峠中腹、こんな急斜面に位置するここの家で子供を育てると…自転車に乗れない子供になるんじゃないだろうか?しかも、最寄りの幼稚園や学校まで10㎞っていうのもなあ…」と思い、そろそろ引っ越しを考えんといけない時期かな?なんて考え始めた矢先のこと。

 ある日、暴風雨に見舞われた際に、茅葺屋根を覆っていたトタンが強風にあおられて吹っ飛ぶ!!!という大事件が勃発…。これね、茅葺がむき出しになると、雨漏りするんですよ。しかも、とてもじゃないけどDIYで修理できるレベルじゃないんです。茅葺の上にトタン葺くのって超難しいんですよ…。だからと言って、業者に頼むと、べらぼうに高い!!てことで、大慌てで次なる移住先を探すことになり、さて、どうするかな?と途方に暮れつつ、ネットで古民家情報を収集していたら、久万高原町役場のホームページに古民家の空き家情報が出ていて、リストに載っている家の情報よりも写真を頼りに「おお!この家なら瓦葺だし、強風で屋根が吹っ飛ぶこともあるまい!」と思えた1軒をピックアップ。持ち主と交渉した結果、あっさり今の家をゲット!相変わらずの、こだわりゼロの古民家探しっぷりが功を奏したということです。

そんなわけで、よく「田舎暮らしをしたい!」「古民家に住みたい」という人が、家さがしに何年も苦労する…という話を聞くのですが、正直、僕にはそんなに時間がかかることが理解できません。たぶん、それって、こだわりが強すぎるからじゃないのかな?もっと軽い気持ちで考えれば、すんなり行くと思うんだけど…。あれ?こんな軽いノリで家探しするのって僕ぐらいなんですかね?



この記事は以下のサイトからライターの許可を得て転載しています。

『久万山その日暮らし』

https://kumayamalife.tumblr.com/post/78023881693

忠政 啓文

忠政 啓文

1976年、岡山県倉敷市出身。健康運動指導士として全国各地でウォーキングやランニングの指導・健康指導の教室やイベントの企画・運営をする傍ら、テレビ・ラジオパーソナリティー・ライターなどをこなす。
また、元競歩日本代表として国際大会での入賞・全日本大会での優勝の経験を持ち、アスリートの指導にもあたっている。
忠政 啓文

コメント(Facebookアカウントをお持ちの方)

コメントを残す





セミナー&イベント
Facebookページ:更新情報、ニュースなど 最新の情報を公開中!
twitter:ehime F. styleの 今をつぶやき中!

記事の検索

えひめの玉手箱

Twitter